特定技能

特定技能資格新設の目的

平成30年12月8日,第197回国会(臨時会)において「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立し,同月14日に公布されました(平成30年法律第102号)。施行日は2019年4月1日です。日本の経済に深刻な影響を与えている人手不足に対応するためです。5年間14業種で最大34万人の受け入れを予定しています。

特定技能外国人の要件

特定技能の14の業種

建設業、造船・航用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、介護、ビルクリーニング、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、素形材産業、産業機械製造業、電子・電気機器関連産業の14業種で単純労働を認める「特定技能1号」が新設されます。

又、建設業、造船・航用工業の2つの業種で「特定技能2号」が新設されます。特定技能2号は家族滞在や在留期間更新が可能になります。ただし、特定技能2号は当面の受け入れは無いようです。

受け入れ対象国

原則として受け入れ国の制限はないのですが、実質的には日本語能力試験を実施する下記9か国となります。これらの国との間で『特定技能に関する二国間取り決め(MOC:MEMORANDUM OF COOPERATION)』を締結します。

現時点ではベトナム、フィリピン、カンボシア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴルの9か国

滞在期間

特定技能1号 最長5年  家族帯同は不可

特定技能2号 特定技能2号として10年以上在日すれば永住も可能  家族帯同可能

在留資格を得る条件

特定技能評価試験(各所管官庁が実施)と日本語能力試験の合格 日本語能力試験は日常会話程度、当面試験を行う国は、ベトナム、フィリピン、カンボシア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴルです。

技能実習2号修了者の特定技能評価試験免除

技能実習で3年以上(技能実習1号1年、技能実習2号2年)の実務経験がある技能実習修了者は特定技能1号の特定技能評価試験、日本語能力試験が免除されます。したがって特定技能1号は2019年から5年間で45%程度は技能実習生からの移行になると考えられています。

技能実習と特定技能の違い

技能実習の目的は国際貢献です。日本の優れた技術を実習期間中に身に付けてもらい、帰国後母国で生かしてもらうことを目的として制度設計されています。しかし技能実習生受け入れ企業の多くが従業員数19%以下の中小零細企業であり、実際は人手不足の解消を目的として受け入れているという現実があります。そこからいろいろな問題が指摘されてます。一方特定技能は最初から日本の人手不足産業の対策として制度設計されています。制度的に特定技能の方が現実に即しており、受け入れ企業としても手続き的にやりやすくなっています。

受入れ機関

在留資格『特定技能』をもった外国人を労働者として受け入れる、企業、会社等です。外国人が特定技能1号のときには、1号外国人が安定的・円滑な活動を行うことができるようにするための日常生活上,職業生活上又は社会生活上の支援を行うことが要求されます。また、生活ガイダンス、日本語の習得支援、相談・苦情対応、各種行政手続の情報提供等の支援を実施することとされています。報酬額は日本人と同等以上、労働関係法令、社会保険関係法令の遵守など、受入機関の基準もあります。

登録支援機関

受入れ機関の代わりに、特定技能1号外国人の支援計画の実施を行う機関です。登録支援機関として登録するためには出入国在留管理庁長官に登録申請を行います。一定の要件を満たす法人等であれば登録できます。